【映像’26「万博と分断~イスラエルとパレスチナ 声は交わるのか~」】
2026.01.24
2025年、大阪・夢洲。世界中の国々が集う万博の広大な会場で、イスラエルとパレスチナのパビリオンは遠く離れた位置にある。互いに視界に入らないほどの距離で、お互いの文化や歴史を展示し、未来へのメッセージを発信している。そこには、ひとつの会場に存在しながらも、交わらない二つの現実があった。
その一方で、中東の現地では、隣り合わせのなか、胸をえぐるような日常がある。ガザ地区での虐殺、停戦後も繰り返される空爆。ヨルダン川西岸地区に張り巡らされた検問、生活を分断する壁。そして突然訪れるイスラエル入植者からの暴力、差別。パレスチナの人々が背負う痛みは、「圧倒的な力の差」のもとに、存在していた。そしてイスラエル人のなかにも、強硬的な政治やその差別に対し、疑問を持つ人たちもいる。
華やかさに包まれた万博会場と、緊張と暴力が日常化した現地の空気。
まるで別世界の出来事のようでも、二つの風景は一本の線でつながっている。
万博会期の終盤、ひとつの小さな出来事が起きる。
離れたパビリオンでそれぞれの立場を語り続けてきた、イスラエルとパレスチナ。
ひとりのパレスチナ人と、ひとりのイスラエル人が、自発的に”向き合って話す”という場が生まれたのだ。
互いの祖国では、出会うことさえ難しい二人が、未来を語るための場所としてつくられた万博で、言葉を交わす。
現地取材で見た”断絶の深さ”と、万博で向き合った”人間同士としての光”。
万博の喧噪の中で静かに生まれた、小さな対話の物語。
その向こうに広がる世界の深い影を考える。