【映像’19「ガチウヨ~主権は誰の手にあるのか~」】
2019.09.22
「米国の正義を疑え!」、そう書かれたTシャツと隊服を着て街宣活動をする小柄な女性がいる。愛国団体「花瑛塾」の仲村之菊(みどり)さん40歳。自らを「ガチウヨ」と呼び、ヘイトに走る「ネトウヨ」とはまったく異なる思想がある、と語る。千葉県柏市に拠点をおく塾には天照大神を祀る神棚があり、仲村さんが祓詞を唱えて一日が始まる。神棚の隣には工具が並ぶ作業場。塾が自宅でもある彼女は、大工である。18歳で右翼の世界に飛び込み、令和の始まりとともに若い男たちを率いる塾長になった。
塾生は約30人。その一人、21歳のヒロキは、仲村さんにネット上で絡んできた「ネトウヨ」だった。だが「もうネトウヨは、卒業!塾長のおかげです」と笑う。今年6月、仲村さんとヒロキは、慰霊の日を沖縄で迎える。兵士と住民が地獄を見たガマ(自然洞窟)にも入り、沖縄戦に初めて触れたヒロキ。「自分の悩みは、ちっぽけでした」と自省し、生活を立て直そうとする。ところが8月9日、右翼が集まる反ロシアデーにヒロキの姿が見えない…。
歴史認識の問題や外交の摩擦から人びとが「ファッションでネトウヨ化している」と指摘するガチウヨ。「戦争の記憶を継承」し、「東アジアと連帯」することなどを目指し、沖縄の米軍基地ゲート前にも立つ仲村さん。戦後74年、模索を続けるガチウヨの目を通し、この国のいまを描いてみる。