【映像’17「母は死刑囚~息子が語るもう一つの和歌山カレー事件」】
2017.06.25
夏祭りの会場で地域の人たちにふるまわれた、カレーライス。にぎやかな雰囲気の中で、それを嬉しそうにほおばる子どもたちの様子が目に浮かびます。
しかし、楽しいはずの祭りは暗転。カレーを食べた人たちは、子どもも大人もそれを吐き出し、苦しみます。当初、食中毒が疑われました。ただ、それにしては症状がでるのが早すぎる…。間もなくして、病院に搬送された人たちやカレーから「ヒ素」が検出され、子どもを含めて4人が亡くなったのです。何者かがひそかにカレーに混入した「殺人事件」。1998年、世間を震撼させる「和歌山カレー事件」の発生でした。
事件発生後から逮捕までの間、疑惑の目が向けら続けたのが地元に住んでいた主婦の林眞須美死刑囚でした。全国のメディアが和歌山市園部の自宅に押し寄せ、常時100人以上の記者・カメラマンが林家を取り囲み続ける、異常な状態が続きました。
あの時、林家の中で家族は何を話し、どう過ごしていたのか。当時10歳だった眞須美死刑囚の長男が、この春MBSの独占取材に応じました。メディアに出るのは初めてのことです。母親は本当に犯人なのか、カレー事件とは何だったのか…。20年目を迎え、初めてカメラの前で語りました。
死刑判決は2009年に確定しましたが、動機など事件にはなお多くの謎が残されています。さらに「無実」を訴えて再審請求も行われています。番組では、ある日を境に母が死刑囚となり、その息子として過酷な人生を歩んだ眞須美死刑囚の長男に密着するとともに、当時警察が極秘に捜査協力を仰いだ病院の医師や、ヒ素の鑑定に疑義を唱える大学教授ら、「今だから話せる」という関係者の様々な声を集めて多角的に検証し、これまで語られることのなかった事件の「もうひとつの像」を浮き彫りにします。