【映像’17「宮武外骨と安倍政治~権力の嗤い方」】
2017.08.27
宮武外骨(みやたけがいこつ)。明治・大正・昭和の時代を通じて活躍した反骨のジャーナリストで、大阪で創刊した「滑稽新聞」などを通して、政治家や官僚、行政といった権力を言論により徹底的に追及した。また返す刀で政権に擦り寄る御用新聞も容赦しなかった。その生誕150年を機に、外骨を現代に甦らせようと試みる。
「平民主義」を信条とした外骨は明治22年に発行した「頓知協会雑誌」で大日本帝国憲法をパロディ化し、不敬罪で東京の石川島監獄に投獄された。以来、入獄3回。発禁処分は数知れず。しかし懲りずに、薩長の藩閥政治を忌み嫌って山県有朋らの元老たちをおちょくりまくった。
「武威に屈せず富貴に淫せず、ユスリもハッタリもせず、天下独特の癇癪(かんしゃく)を経(たていと)とし色気を緯(よこいと)とす。過激にして愛嬌あり」-外骨はこれをモットーに、時事批評だけでなく下世話な世相の話題まで扱い、「滑稽新聞」は現代の週刊誌に相当する内容を持っていた。当局の圧力で潰されるたび、装いを変えては新たな雑誌を作り続けた。
翻って現在の安倍政権は「秘密保護法」「安保法制」「共謀罪」などを、詭弁や奇論、頓珍漢な答弁などを駆使して実現してきた。その一方で、「森友・加計問題」ではその場しのぎのごまかしの論理で、正論に対して聞く耳を持たない。番組では、ユーモアや頓知、皮肉や諧謔を用いてすべてを笑い飛ばす、そんな外骨流ジャーナリズムがいま求められているのではないか。そんな視点から政治とジャーナリズムのあるべき関係を問い直します。