【映像’24「労組と弾圧~関西生コン事件を考える~」】
2024.03.31
「これは放っといてもいいか」、ニュースを追う日々で反射的に前捌きしてしまうネタがある。自殺、市民オンブズの小さな告発・・大事な問題を孕んでいるかもしれないのに、人や時間が限られることを言い訳に葬る。「関生事件」もそうした一つだった。
「連帯ユニオン関西生コン支部、通称‟関生″」はミキサー車運転手による労働組合だ。粘り強い交渉やストライキも辞さない姿勢から経営側にとって厳しい労組として知られた。その関生の組合員が威力業務妨害や恐喝容疑で次々と逮捕された。団体交渉やストライキなど労組にすれば当然の行動ばかりだった。のべ81人が逮捕され長期間勾留された。しかし、この「関生事件」を報道するメディアは少なかった。
警察・検察の取り調べで保釈と引き換えに迫られた「組合脱退」に応じ罪を認めた者も多かった。しかし、否認・黙秘を貫いた組合員たちに無罪判決が出るように。裁判で闘う道を選んだ組合員のべ31人のうち10人の無罪が確定。ただこれらを報じたメディアも僅かだった。
「どうせ過激な行動をとったんだろう」「反社会的勢力とつながっているのでは」だから「逮捕されても仕方ない」、こうして私たちは「関生事件」を黙殺してきた。
非正規雇用、物価高など、労働者の環境は改善されない。一方、全米自動車労組がストで大幅賃金アップを勝ち取ったり、日本でも百貨店がストにより休業したり労組の存在が再評価されている。関生は労組としてやるべきことをやっただけではないか。遅まきながら考え直す。「関生事件」とは何だったのか。労働組合の意義とは?