【映像’23「小児性犯罪~当事者たちの証言~」】
2023.07.30
大阪府吹田市の柳谷和美さん(55)は5歳の時に性被害を受けた。加害者は隣の家に住む友達の父親だった。自分が受けた行為の意味を理解したのは中学生になってから。それ以来「自分の身体は汚い」と感じ自傷行為がやめられなくなった。
転機は2009年。性暴力被害者の講演会に参加し、当事者が話す姿に衝撃を受けた。
それ以来、柳谷さんは「幼少期の性被害が与える影響の大きさを知ってほしい」と自らの経験を語り始めた。心理カウンセラーの資格を取り、心身に深い傷を負った人たちに寄り添う活動を続けている。
子どもへの性暴力を繰り返すのはどのような人物なのかー。
東京都に住む加藤孝さん(60)は、これまで10人以上の子どもに性加害を行ったと語る。家庭教師をしていた加藤さんは強い立場の者が子どもに性加害を行うのは容易いと話す。今、問題になっている大手芸能事務所の所属タレントをめぐる性加害の構図も同じだと指摘する。加藤さんは週に一度、精神科に通いながら治療に取り組み、23年間、加害行為はしていないという。過去に加害行為を行った事実は変わらないが加藤さんは「治療によって加害への衝動は抑えられる」と話す。
13歳未満の子どもに対する性犯罪の認知件数は去年1年間で1000件にのぼり再犯率も高い。一方で13歳以下の子どもを性の対象とする精神疾患「ペドフィリア」を指摘する声もあるが治療に取り組む人は少ない。性加害行為を「病気だから」では済まされない。相反する当時者の証言から社会に何ができるのかを考える。