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映像’20「わたしと弟~在日女性が生きるいま~」_banner

【映像’20「わたしと弟~在日女性が生きるいま~」】

 

赤貧の家庭で育ったせっちゃんは、2歳年下の弟、よっちゃんが大好きだった。弟がイジメられれば、仕返しにいった。時は流れ、アパートの一室でその弟が息絶える。

せっちゃんは、在日3世の辛淑玉(シン・スゴ)さん(61)。18歳でモデル業をこなし、その後に起業。人材育成コンサルタントとして注目され、多くの著書を執筆している。ところが3年前、悪意に満ちたデマを流され、「死ね」などの暴力的な言葉を集中的に浴びた。身にも危険を感じドイツへ渡ったが、去年10月、弟が急逝した。中卒で定職につけず、差別という風圧に苦み続けた弟。死亡する前日、「心臓が苦しい」と助けを求める電話を知人らにしていたが、救急車を呼ぶことなく翌朝、亡くなった。辛さんは大きな喪失感に苛まれる。

ドイツから東京の自宅に戻った辛さんは自問自答する。なぜ弟を救えなかったのか?なぜヘイトが溢れる息苦しい社会なのか?日本がかつて植民地とした朝鮮半島。弟の遺影とともに辛さんは韓国の慶尚南道にある父の故郷に向かった。在日として生きてきた姉と弟の余りに違いすぎた人生を通し、日本というこの国と社会のいまを見つめてみたい。

 


 

• 第57回 ギャラクシー賞 奨励賞 受賞

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